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同人ゲームやフリーゲームはもちろん、ゲームデザイナーを目指す人、これからゲームを作りたい人、今もゲームを作っているがなかなかうまくいかない人向けの、ゲーム開発に関するブログ。

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損のデザイン

限定された期間
 なし
リソースの管理
 あり
明示された選択肢
 あり

分析と感想

 FPSの良作。特に開発者のコメントが見られるので、ゲームデザイナーを志す人は一度触れてみて欲しい一作です。シンプルにするほど面白くなる、といった名言が随所に散らばっていますし、開発の際に苦労した点や工夫など、生の意見に触れることが出来きます。

 ゲームモードにもよりますが制限時間は特には設定されていません。ただし、一時的に、特定の感染者にマウントを取られたときなど、ところどころに現れることが有ります。

 各武器に設定された弾薬はリソースとして機能しています。ハンドガンは所持弾薬こそ無限にありますが、装填数には限りがあるため、いつリロードするのかは管理として強く機能しています。

 所持弾数に限りのあるメインウェポンは3種類の分類に分かれ、うち2種類に上位互換の武器が存在します。このメインウェポンに何を選ぶかは攻略の上で重要なカギとなり、またプレイヤーの個性が発揮される場所でもあります一撃の強い近距離のショットガンを選ぶか、弾をばらまけるマシンガンを選ぶか、それとも大概は一撃で倒せるが連射の利かないハンティングライフルを選ぶか。操作キャラにこそ性能差はありませんが、用いる武器によって立ち回りが変わってくるので、どの武器を選ぶかは重要な選択肢と言えます。

 色々と学ぶべき点の多いゲームですが、特にバランスのとり方についてはこのゲームを教材としても良いと思います。AIにより登場する敵の数、種類を決定しており、難易度をプレイヤーに合わせて調整してくるのですが、その調整の仕方が秀逸と感じます。

 敵のキャラクターの種類もそれほど多くなく、通常感染者、ブーマー、ハンター、スモーカー、タンク、ウィッチの合計6種類しかいません。さらに、ウィッチの登場回数は少なく、タンク、ウィッチに関しては専用の音楽が流れるため無理に記憶せずとも曲と関連付けて覚えることが出来ます。

 通常戦闘で紛れ込んでくる特殊感染者は、敵を集めるブーマー、飛び掛かってくるハンター、そして拘束してくるスモーカーの3種ですが、3種類に絞っているからこそ、ラッシュ中などにおいても認識がぎりぎり追いつく範囲にまとまっています。

 なによりも、特殊感染者を出すために大量の通常感染者との戦闘がある事。これが素晴らしいですね。

 人間、慣れる生き物なので、マップの構造やルートを把握していても通常の敵との戦闘が長く続くと、ついブーマーやハンターの事を忘れてしまいます。そして、慣れてきたであろう所で彼らを突然配置し、罠にかけて来る。

 ゲームを通して、プレイヤーも含め、彼らの強さは基本的に変わることはありません。にもかかわらず難易度を上手く調整出来ているのは、この慣れてきたところにスパイスを用意する、AIの働きによるところが大きいと言えます。

 ラッシュを用意したり、特殊感染者を用意したり。こんなところでタンクかよ等、ただただ感染者との戦闘に終始するのではなく、突然起こるハプニングを上手く難易度に利用しています。これは空気作りの一環でもあると思いますが、全体を通して非常に洗練されたコンセプトワークが成されているので、どのジャンルを作るにしても一度は触れてもらいたい名作と、個人的には考えています。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。L4Dの場合は様々なリスクリターンが混在しています。基本ルールとしては移動してゴールであるセーフハウスを目指すだと思います。ゾンビを倒しては少しずつ進むゲームですから、強引に進むと囲まれてしまうリスクが存在します。ならばその場で敵をすべて倒してその場に留まり安全を確保すると言うのが定番なのですが、このゲームの面白い所はAIディレクターによりその場に留まり続けるとラッシュが発生したり後ろから襲われたりと、スタート地点以外では絶対に安全が確保できない仕様になっている点です。

 なのでプレイヤーは休憩時間と戦闘回数を天秤にかけながらステージを進行していくことになり、ここが有る意味ではリターンであると言えると思います。

L4D 基本のリスクリターン

リスク
 戦闘回数が増えるかも知れない
リターン
 休憩時間が取れる

 相手が一撃で倒せるとは限らない仕様上、あまり命中率などもリスクリターンとしては機能していません。敵が多いため適当に撃っても当たりますし、ゾンビが遠慮なく接近してくるため戦闘のほとんどは目の前で発生します。なので敵との距離が近いほど倒せるリターンが大きくなると言うようなものでもありません。

 厄介なのは特殊感染者です。彼らはそれぞれに攻略法が異なります。例えば基本的には距離を気にしなくていいゲームではあるのですが、ブーマーやタンクは近距離で戦ってはいけません。ブーマーは極力遠くから、タンクは逃げながら倒さないと危険です。所がラッシュ時では足を止めていることが多いため、この2体は極めて危険な相手となります。

 ハンターやスモーカーは単体では他のゾンビと大差ありません。なんなら銃では無く殴り倒しても問題の無い相手です。不意打ちに気を付けていれば大した脅威ではありません。

 しかしウィッチに関しては戦わない、ライトを向けない、無視するというのが攻略法となります。倒し続けるゲームなのに倒してはいけない場面が突然発生する。やらなくてはいけない事がやってはいけない事に代わる敵で、タンクやブーマーとは違ったベクトルでゲームチェンジャーの役割を持っています。

 プレイヤーがこなすべきルールが、時としてプレイヤーのやるべき事、やりたい事と相反する時、プレイヤーは戦略等を考える楽しさを得ると言う原則をL4Dは示してくれているように思います。
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損のデザイン

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分析と感想

 パズルゲームの名作の一つで、向いている方向にしか進めないレミングスをゴールに導くと言うゲームです。何も命令していなければ前に進み、壁に当たると向きを反転する挙動を繰り返します。彼らは目の前に炎が有ろうとも崖が有ろうとも迷いなく直進するので、トラップを上手く回避できるよう、穴を掘ったり階段を作ったり、特殊能力で壁を登らせたりと様々な命令を与えながらゴールへの道筋を作っていきます。

 各ステージには時間制限と、ゴールさせる目標人数が設定されています。時間内にその人数を救えなければそのステージは失敗です。この時間制限で難易度が大幅に変化し、難易度easyでクリアしたステージがhard等で再登場し、前クリアしたしと油断していたら時間が足りずクリアできなくなったりします。

 各レミングスに与える事の出来る命令の数がリソースとして機能しています。恐らくですが、ステージ作成の際に、まずは正解の手順を決定した後、正解の手順を増やすためこのリソースの量を調整する作り方をしていると思います。同じマップでも命令の数が異なることも良くあります。コマンド数が8なのも人間の認知としては迷わせるのにちょうどいい数です。

 レミングスを名作たらしめているのはやはり自爆コマンドだと思います。ルートを作成するためストッパーを用いるステージはかなりの数に上ります。ですが、このストッパーは大抵の場合、ルートが出来上がると自爆して殺される運命にあります。そのうち慣れるのですが、初めてこの攻略法を見出した時、多くのプレイヤーがこうつぶやいたことでしょう。「ごめん」と。そして、この「ごめん」はいろんなシーンでもついつぶやいてしまいます。ルートが出来上がったと思ったのにトラップを一つ見落としていて、そこにレミングスを大量に送ってしまったとき。あるいは段差を見落として引き返してしまい、その先が崖や炎だったとき。プレイヤーの判断ミスで大きな犠牲を出してしまったとき、ついごめんと言ってしまいます。

 レミングスは当然生きていないしただのドット絵に過ぎないのですが、プレイヤーの判断、操作ミスで死んでしまう、殺してしまうと言う所に心理的な損が発生しています。実にうまい作りです。愛着と言うものかもしれませんが、この手の損を上手く作れたゲームはだいたい名作ですね。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。レミングスの場合はどうでしょうか?

 色々と思いつくのですが、危険性と報酬を突き詰めて考えると、レミングスは常に移動しています。そして移動した先にはトラップや崖などの様々な障害があり、これを乗り越えて道を作る事がリスクとリターンと言えるかもしれません。なので、基本的な物は以下のような形になると思います。

リスク
 レミングスが死ぬかもしれない
リターン
 トラップ等の困難を乗り越える安全なルートが出来る

 となると戦略はリソースの管理部分に当たるかと思います。つまりどのコマンドをどこでどのタイミングでいくつ使うか。

 実際難易度の低いステージをみると、崖やトラップの障害の数であったり、コマンドが使える面積が広く、コマンド数も多いと言う事で余裕があります。この余裕があまりにも多いと作業ゲーとなってしまうかもしれません。

 レミングスの場合は登場する数に上限があり、目標とする生存数、そしてタイムリミット等も存在しています。これらをゲームとして成立させているのはなによりもレミングスが常に左右に動き続けてしまうという性質では無いかと思います。

 時間をかけすぎるとタイムリミットに間に合わなくなります。
リスク
 タイムリミットに間に合わなくなる
リターン
 じっくりと考える事が出来る

 死亡数を無視すると目標の生存数に届かなくなってしまいます。
リスク
 目標ノルマを達成できない
リターン
 安全なルート構築のロケハンは出来る

 クリアの為には時にはリスクを背負って、ステージの失敗を覚悟のうえで臨む必要もあるでしょう。プレイヤーの思い通りに動かない相手が救出対象というのもこのゲームの面白さを産んでいる要因かもしれません。
 RPGにおけるPLとGMの責任について、ロールプレイが指す意味とGMの存在において、PLは自分の行動について責任を持とうと言う旨の内容が掲載されましたが、正直な感想を述べると、セッションの失敗の要因をPLに押し付けている だけではないかなと感じました。申し訳ないのですが、例として挙げられているPLの行動はGM側で防げますし、PLの行動の結果として挙げられた対処はただの腹いせによる報復です。ただただ準備不足で下手なGMの例になっているなと感じました。

 以下、おかしいなと思った点。

構造のズレ

「町外れにある館にいる吸血鬼を倒して欲しい」というセッションで、館の中に入らず外から火をつけて燃やす。という行動をした

 そもそもこの行動を問題視する事自体が間違いです。真っ先に目立つ点として、GMがPLにやらせたかった事と、NPCからPCへの依頼にズレがあり、シナリオの作りそのものに構造のズレがあります。

  • 構造のズレ
    • NPCからPCへの依頼
      • 町外れにある館にいる吸血鬼を倒して欲しいという
    • GMがPLにやらせたかった事
      • 吸血鬼との戦闘と館の探索

 依頼内容にはPLにやらせたいことの半分も含まれておらず、館を残せとは一切言われていません。PC側からすれば自分たちの体力、戦力の温存のため、最大の結果を出そうとして館に火をつけると言うのは極めて合理的な判断と言えます。

村に火が燃え移っただけではなく周囲の森にまで広がり、PC達は命からがら逃げ出すことしかできなかった。それだけではなく国中から指名手配される事になった。

 その結果として指名手配とするのは、GMがPLにやらせたかったことをしてくれなかった腹いせによる制裁です。この結果は良くない。本当に良くない。

 放置された家屋であればともかく、吸血鬼とはいえ人が住む家である以上、館の周辺にはある程度の手が入れられていますし、森の中にあるとしても、 周囲の木々とは一定以上のスペースがあると考えてしかるべきです。これは、家からの失火で周囲が火事になるのを防ぐだけではなく、外部から何らかの原因で火が出た際、我が家に燃え移らないようにするためのスペースでもあります。また、舞台設定で「町外れにある館」とわざわざ指定しており、物理的に町や村から距離がある家屋の失火が燃え移るというのもおかしな話だし、周囲の森にまで広がるというのも、よほど乾燥していて風が強い日でもない限りありえません。

 例えば、クリティカルで成功したとか、ファンブルで成功したとかのギミックで、やりすぎてそうなったって言うのならまだ解ります。それなら PL側も納得がいくでしょう。ただ、例として挙げられている処理内容は普通に成功したものなので、そこまでの処理をするのはマスタリングに問題があると言わざるを得ません。

 指名手配と言っても、それだけ大規模な火災であれば犯人探しも非常に難しいでしょう。それなのにPCを名指しにしているのはGMが犯人を知っているからです。PLとPCの知識に差があるのと同様にGMと世界の知識には差があって当然です。なので、これはGMの腹いせであると断言できるのです。

 この状況になった結果の責任は火をつけたPL達にはありません。何度も説明した通り、GMによる意図した行動をとらなかったPLに対する腹いせであり、腹いせである以上、この結果の責任はGMにあります。回避するにはどうしたらよかったのか? GMとしてはそちらを考えた方が建設的でしょう。

 問題点は、GMが意図した行動をPLにとらせられなかった、誘導できなかった、上手く伝えられなかったという点です。つまり、シナリオの構造の問題なので、まずはここを見直してみましょう。

改善案

 構造のズレで指摘した通り、NPCからPCへの依頼とGMがPLにやらせたかった内容に食い違いが見られます。という事は、NPCからPCへの依頼内容を修正すればこの問題は解決します。

 思いつく方法としては以下の物が挙げられます。

  • 吸血鬼の倒し方を指定する
  • 館内のあるものの探索を依頼し、そこに番人として吸血鬼を出す

 あくまでも例に過ぎませんが、この他にも色々あるのではないかと思います。

 もう一度整理しましょう。GMがPLにやらせたかった事は以下の二点です。

  • 吸血鬼との戦闘
  • 館の探索

 それに対してPCに依頼された内容は以下です。

  • 吸血鬼の討伐

 表にしてみると解りやすいでしょう。

PLにやらせたかった事 吸血鬼との戦闘 館の探索
PCへの依頼 吸血鬼の討伐  

 戦闘と討伐に食い違いがありますし、館の探索はマストではありません。よって、それぞれにしなければならない理由を付与してやれば、もう少し違った結果になるはずです。

  • 吸血鬼と至近距離で戦わなければならない理由
  • 館を探索しなければならない理由

 これら二つをしっかりと用意して上記の表を下のように修正してやれば、プレイヤーが館に火をつけるという行動はかなりの確率で防げます。

PLにやらせたかった事 吸血鬼との戦闘 館の探索
PCへの依頼 吸血鬼と戦闘しなければならない 館を探索しなければならない

 GM側のシナリオの練りこみミスをPLに責任転換するのは良くありません。TRPGのセッションの失敗をPLがお客さん根性だからとか、PLも責任を取るべきと言うような論は少なからず散見されますが、PLに責任を擦り付けていると面白いGMにはなれないし、TRPGも面白くなりません。 PLが意味の分からない行動をとった場合、GM側は十中八九、シナリオの構造に問題があると思った方がいいでしょう。

 結局、そのセッションの面白さはGMが用意したもの以上にはなりません。

 つまらなかった、PLが思った通りの行動をしなかったとぼやく前に、GMは本当にやれることをやったのか、という点を見直すべきではないかと感じています。


依頼などに垣間見る甘さ

 上記で言えば依頼を受ける前提でお話を組んでいる所にそもそもの問題があります。

 依頼そのものは断れます。そして、途中で放棄もできます。なので、前提からして構造が甘いと言わざるを得ません。依頼の形式にするのであれば、断れず途中放棄も難しい状況にしないと、PLは途中で放棄することも断ることもできます。

 吸血鬼を倒すクエストを例にしてみましょう。例えば以下のような内容であればどうでしょう?
 PLを含め全員がすでに吸血鬼の下僕と化しているが、吸血鬼の生首を館の地下の祭壇に掲げればこの呪いを解くことが出来る。しかしそこは厳重に封印されており、ラスボスの始祖が存在する。下僕は毎日毎日使い捨ての奴隷とされているため、留まるのは危険で、かつ、食事は人間の生血で、補充は館内でなければ難しい。
 舞台設定を用意しておけば断りにくくなります。あとはPLを適当に配置すればなんとでもなるでしょう。使い捨ての 奴隷にしておくか、生血の食料にしておくか、あるいは逆に吸血鬼の側にしておくか。ここから先はGM次第ですが、ただ依頼を受けるよりもよっぽど楽しくなります。

 構造の甘さは処理の甘さにも出ています。

PL「敵は?」
GM「わからないよ」
PL「えーっと調べる?」
GM「んーどうやって?」


 自分の家がゴウゴウと燃えている状況で外を見ないで、焼け死ぬまでその場に留まるというのは、固定されたロボットぐらいのものです。この場合、まず敵は 外を確認するので、火をつけた本人にはマイナス修正をつけ、PC全員に隠密判定をするのがオーソドックスな処理です。一人でも見つかったら即戦闘に入ります。誰も見つからない場合は消火しにくるため1ターン不意打ちの機会を得られます。以後の戦闘は、毎ターン増援がある状態で、館内全ての敵との戦闘、と自分ならばそうします。館内からの射撃があるので、敵側にややボーナスを用意した状況で進めるでしょう。増援に関しては焼死や逃亡などで一定の数が減っている物として処理します。

 非常に失礼な感想ではありますが、火をつけたPLに対して「わからないよ」と即答してしまうのは、物語への反映を拒みコミュニケーションの断絶をGM側から行っています。この程度の変更を臨機応変に行うのは別に離れ業でもなんでもありません。そもそも突拍子の無い行動ではないし、想定していなくとも敵側の想像ができれば対応は難しくありません。

 考えつかない場合は、PLに想定外だったので一緒にちょっと考えようと提案し、敵側だったらどうするかを質問するのも一つの手ではないでしょうか。手に負えない場合、頭を下げて時間を巻き戻すのもいいでしょう。それがコミュニケーションという物ではないでしょうか?

モンスターをどうしても倒したくない非殺生キャラだとか、女の子を見ると殺したくなるシリアルキラーだとか、宝箱を見るととりあえず開けて罠は全部発動させるトリックスターだとか。そういった突飛な行動をするPL達

 これらについても、突飛な行動といってもちょっと想定外な程度でしかありません。突飛な行動と決めつける事で、「想定と違うと許可出来ず、物語への反映を拒む」ための、言い訳に使っているだけに過ぎません。モンスターをどうしても倒したくない非殺生キャラをやりたいのならやらせてやればいいんです。

 例えばオープニングで切りかかられる戦闘からスタートし、設定を守るプレイヤーならそこで反撃せず瀕死になるだろうから、NPCに代わりにモンスターを倒させ、そのNPCに何故倒さないのかを聞かせてやればいいんです。PLは設定を話したいから、そういう設定をつけています。話を聞いた後にじゃあこれで守っ てくれと、シールドを渡すなどをしてやるとそのNPCの印象が良くなるでしょう。後はシナリオ内で、そのPCがモンスターを倒さなければ、オープニングで助けてくれたNPCが死ぬ。というシチュエーションを用意してやれば、きっと面白くなります。

 女の子を見ると殺したくなるシリアルキラーも、オープニングにうまく取り込むことは出来ます。

 もし、手に余るようならば、「悪いけどその設定、僕には扱いきれないんで下げてもらいたい」と頭を下げればいいんです。取り入れられないからコミュニケーション能力が無いわけではありません。思いつかない時は思いつきません。できないと思ったことを素直に認めて、それを相手に伝えて下げてもらうのもコミュニケーションです。TPRGはコミュニケーションのゲームで、GMは神様ではないのですから、悪いけど手に負えないから無理と頭を下げる方法がありますし、逆に突飛だからと片付けてしまうのはGMが神様であることを押し付け、コミュニケーションの断絶をも意味しています。よって非常によろしくありません。

 その行動を面白いと思えば突飛な行動ではないし、その行動に理解を示さなければ突飛な行動になります。突飛かどうかの判断基準は、ただ単にGM側の心象に過ぎないのです。

PLの心理コントロール

 PLがやるべきことを見失っている場合、突飛な行動を取る傾向が強くなります。要は、ヒマだからそういう事をするようになります。

 これをやらないとやばい事になる。そういう心理状態に持っていけていれば、たとえシリアルキラーの設定をもったPCでも、シナリオの目的とキャラ設定を上手く組み合わせてくれます。卓についている以上、非協力的ではないのです。

 シナリオの解決とは、主に舞台となる場所で特定の組織が損をしており、それを回避しようとして第三者に委ねる形で行われます。この第三者がPCであり、依頼という形でお願いすることが多いと思いますが、第三者であるがゆえにPCには損がありません。損が無いので危機感を持てません。 だったら、第三者ではなく当事者にする事が近道です。

 よって、セッションをより上手く動かすコツは、PCに回復できるが致命的な損を与えてやる事です。そして、その回復方法を明示してやりましょう。そうすればプレイヤーに明確な目的とモチベーションが芽生えます。往々にして、突飛な行動を行うプレイヤーというものは、こういった明確な目的を与え られていないPCをプレイしています。これはGM側の心理コントロールミス、誘導ミスに依るところが大きな要因を占めています。

 相手の心理を誘導するために大胆に損を植えつけてやりましょう。「こういう状況で、これをしないと、キャラロストする」と明示してやると人は損に動かされるので回避しようと模索を始めます。そして、プレイヤーの賢さを信じましょう。プレイヤーはGMが思う以上に賢くバカな存在です。どんな大胆に損を植えつけても、キャラ設定を否定しない限り自キャラとの整合性は見出してくれます。なのでまずは信じましょう。プレイヤーを。
 TRPGのルールブック等に付随してくるサンプルシナリオの作りなのですが、個人的にはやや疑問を感じましたので、いくつか問題点とその改善案について記録を残しておきます。

小説やアニメを原作にする場合と同様の問題点が挙げられる

 付属シナリオの問題点ですが、一見楽にできるように思えるのですがPLの行動の幅が狭く、一読しただけでプレイするのは危険な作りです。

 どのシーンでどんなセリフ、どんなセリフとGM主導での区切り方が書かれているが、PLの主導権はPLに与えるべきなんです。GMはうまく誘導するのが役割であって、PLの行動を制限してはいけないし、PLの行動を制御するのは無理です。

 現在頒布されているシナリオの作りだと、GM側は以下の整理を行った方がよいセッションになるかと思います。ブレカナSSSで同様の事を試しましたが概ね好評でした。

  • GM側に推奨される行動
    • シナリオの分解
      • NPCの整理
      • 各種団体の整理
      • 各団体、登場人物の目的の整理

 という事で、大雑把には原作有りのシナリオをやる場合と大差は有りません。逆に言うと、そのままではあまり使い物にはならないと言えます。

制作側に求めたい事

 とにかく、NPCや舞台背景に関する情報が少なすぎます。シーン○○と書かれたシーンが、本当にプレイヤーがやりたいであろうシーンなのかと問われると大きくズレていると感じます。ほぼGMが必死に語るシナリオに陥りやすく、それはマスタリングとはいい難いです。よって制作側には以下の点を充実してもらえないかと希望します。

  • 作成側に求めたい行動
    • この場面でこうする、と言うものをシーン数で並べない
    • 登場するNPCに関する記述をもっと掘り下げる
    • 同様に、登場する各種団体の記述をもっと掘り下げる
    • 現在のシナリオの倍、設定の記述を用意しても良い

 一番の問題は、シーン番号が割り振られた作りです。不慣れなGMはあれをそのまま読み上げ、PLがその通りに行動しようがするまいが、次のシーンに進めてしまいます。序破急や起承転結の、もうすこしゆとりをもった割り振り方に変更するとか、ゲームブックのように番号を飛ばすなど、時系列通りに並べないなどの工夫をした方が、良いセッションにつながると思います。GMに求められるのは応用力なので、こういった工夫を必要とする不便さを用 意したほうが、逆に理解を深めるのではないかと感じます。
 
 特に番号は数字の通りに進めようとしてしまう力が強いので、いっそのことタイトルだけにしてしまった方がやりやすいのではないかと思います。

 全体的にですが、NPCに関する記述が非常に弱いように思います。同様に、各種組織、団体の記述が乏しいため、もう少し明確な目標、目的、性格を記述し て、アドリブに耐えられる情報を用意したほうが無難です。以上の物を用意した上で、よりスムーズに進めるために街の設定も必要です。TRPGにおいて想定外の事態によるアドリブが0のセッションはあり得ませんので、ここは幅を持たせる必要があります。

 とにかく、現在のシナリオに使われているテキスト量の倍以上、設定に関する記述を用意しても良いぐらいだと思います。これは臨場感を持つためですが、TPRGにおいて一番臨場感を持たないといけないのはGMです。GMが臨場感を感じてシナリオに挑めないと、PLはもっとシナリオが薄まってしまいます。サンプルシナリオの設定に関して、もっともっとテキストを書いてもらえれば、付属シナリオはもっと良くなるのではないかと思う所です。
 TRPGの初心者GM向けに書こうとしたものです。

 不慣れなGMさんですと、小説やアニメを原作にしてセッションに挑んだりするケースが良くあると思います。で収集がつかなくなって失敗までのセットも経験があると思います。この失敗をする人は自作のシナリオでも失敗する傾向があります。逆に言うと、同じように原作のあるシナリオでも失敗しない人は、自作のシナリオでもそつなくエンディングを迎える事が出来ます。

 失敗する人と失敗しない人の違いには以下の物が挙げられます。

失敗する人
  • ストーリーをそのまま再現しようとする。
  • GMの喋る時間が長い

失敗しない人
  • 物語と同じ舞台を用意する
  • PLの喋る時間が長い

 結果として面白かったかどうかは、PLがどれだけシナリオ内で喋ったかに大きく左右されます。喋って活躍したポイントが一つでもあれば、楽しかったと思ってもらえます。失敗する人は、このPLが喋る時間よりもGMの描写の方が多くなる傾向があります。

 プレイヤーに合わせておらず、GMでさえも原作に合わせているという所が一番の問題点で、それなら原作を読んだ方が楽しめる結果になります。

失敗しないために

 失敗を防ぐというよりも、PLにつまらなかったと思わせないために、しっかりと準備をするところからまず始めましょう。GMの喋る時間が長いの は、シナリオに対する理解力が低く応用が効かないためで、PLの行動を制限しようとする心理が働いているからです。元のシナリオから離れることが運営上損だと、無意識では認識しているからですね。つまり、より端的に言えば準備不足からくる不安がそうさせています。

 PLというのはGMが思う以上に賢く、GMが思う以上に馬鹿なものです。どうしてこんなことに気が付かないんだろうっていう事もあれば、なんでそんなところに気が付くんだろうという事もあります。よって、PLはGMの考えるストーリーの枠組みではなく、より広く活動できるステージを用意すると、 セッションでの失敗は少なくなります。

分解の重要性

 分解は分析と言ってもいいでしょう。まず物語の要素を一つ一つ分解していく事で、舞台がどういう所なのかをより理解しやすくなります。舞台を理解す ることにより、PLの行動に対する大きな修正がしやすくなります。また、PCへの依頼方法などのアプローチの仕方がより適切になるため、問題解決へのモチベー ションを上げやすくなります。

 分解しないと、主人公らの行動からPLが少しでも外れるとシナリオが崩壊します。分解については凡そ以下の内容と作業を行います。

  • 分解すること
    • 登場人物のリストアップ
    • 登場する組織のリストアップ
    • 登場する場所のリストアップ

 分解の中に起承転結が無いのに注意してください。TRPGにおいては、PLの行動を縛ろうとするといい結果にはなりません。物語の起承転結はPLに委ねた方がスムーズに進みます。

登場人物のリストアップ

  • わき役を分析する
 まずは登場人物をリストアップします。その後、脇役の分析を必ず行います。性格や目的を理解すると、PLの行動に対しての応用の幅が効くようになります。「こう言われたとき、こいつならこう答える」と言うのがとっさに出るようになれば合格ラインですね。

舞台背景の分析

  • 舞台背景を分析する

 原作に登場するわき役を分析したら、次は舞台背景も同様に分析を行います。と言いますか、必然的にこれも分析せざるを得なくなります。

 どんなストーリーでもどこかに必ず組織が存在します。組織の目的、それに巻き込まれた集団の目的などを洗い出していけば、一人迷走しても引き戻すことが容易になります。

 組織以外にも、歴史的な背景についてもある程度押さえておいた方がいいでしょう。組織の歴史はもちろん、舞台となる街、城、村、森など の歴史などについても把握しておくに越したことはありません。特別なアイテムが出現する話なら、そのアイテムにまつわる話も知っておきましょう。

対立の構造

  • 対立の構造を必ず把握する

 問題解決の大半は対立構造の解決です。組織間、個人間の対立は舞台背景の中でも特に重要なポイントなので忘れずに把握しておきましょう。

PLにやらせたい事を決める

  • PLにやらせたいことを決める

 舞台背景、組織と登場人物の目的が決まったら、次にプレイヤーにやらせたいことを決めます。戦闘をさせたいのか、謎解きをさせたいのか、組織を設けさせたいのか、組織を破滅させたいのか。これを各プレイヤーに対して決定します。

 PCではなくPLである点に注意してください。

PCを放り込む

  • PCを放り込む

 PLにやらせたい内容が決定したら、そこから逆算してPCを当てはめていきます。昨今のシナリオの作り方ではPCはこんなキャラと言った具 合に指定しますが、よく遊ぶメンバーであればPLの性格に合わせた方が良いです。すでに作成済みで、何度か遊んだことのあるPCを使う 場合、相手のキャラ設定を大事にしましょう。大事にするために、キャラ設定やどんな性格なのかなどを勝手に考えず、相手への確認を怠らないようにしましょう。

やってはいけない事

 以下は既存の作品を原作としたTPRGのシナリオ作りの際に、やってはいけない事です。

主人公の役割をそのままPCに任せる

 どのPCに対してであっても、主人公の役割をそのままPCに任せると失敗の大きな要因となります。一つに、シナリオから外れた際に戻すのが困難である事。これはGM側が、どうしてもこういう行動をしてくれるだろうと期待してしまう所に原因があります。もう一つは、その話を知っているPLはかなり面白くなくなってしまう点です。

 シナリオの流れや仕組みを予測して動くのは楽しいのですが、ネタを元々すべて知っていて、要求されている行動も解ってしまうと、それ以外の行 動をとったとしてもGMが対応できないのは目に見えているし、となるとPLが出来る行動も制限されてしまい、TRPGの持つ自由度が0になってしまいます。PLが面白くないと思う可能性が非常に高くなるため、望ましいマスタリングではありません。

原作のあるセッションを遊ぶ事は、行為としては推奨される

 ここまであまり良い評価を下していませんが、原作のあるシナリオについてはそのまま遊ぶのは良くないのですが、アレンジを加えたシナリオ作りはGM技術の上達のためにも推奨はされると思います。メリットは以下の3点です。

  • 分解により、物語の構造を研究できる
  • NPCを理解することにより、オリジナルのNPCにフィードバックができる
  • 分解された物語を複数持つことにより、組み合わせて新たな物語を作ることが出来る

 物語の分解で一番重要なポイントは、どこに自分自身が面白いと感じたかです。これを知るためにも複数の物語を分解してみましょう。人によって 面白いと思うポイントは違うのでこれと一概にいう事は難しいが、自分の思う面白いをつかめた人は、他人を楽しませることが出来るはずです。
  
プロフィール
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TRPGや同人ゲームなどを制作。イベントプロデュース等。
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