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同人ゲームやフリーゲームはもちろん、ゲームデザイナーを目指す人、これからゲームを作りたい人、今もゲームを作っているがなかなかうまくいかない人向けの、ゲーム開発に関するブログ。

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レベルアップは、ゲームを作っていると必須と言ってもいい要素ですが、同時にその役割を見失いやすい要素の一つでもあります。

特にデザイナー側はPLをもてなそうとするあまりレベルアップには良い要素しか入れない傾向がありますが、ただ強化するだけでは作業感を強める悪い要素となってしまいます。

ゲームバランスを維持したままキャラクターを強くするにはどうするのが一番なのか、他のゲームからヒントを探ってみたいと思います。

二種類の分類

 敵の登場の傾向には大きく分けて2種類が存在します。

 一つはドラゴンクエストやFFなど、フィールドの特定のエリアでは特定の強さの敵が登場する、ツクールではリージョンと呼ばれるものやそれに類するものが設定されている物。

 一つは主人公の強さ、シナリオの進行にあわせて同じ場所の戦闘でも登場する敵が変化するもの。ロマサガシリーズや、オブリビオン、スカイリムなどでよく見られます。
 
 これは敵キャラクターに接触すると戦闘が始まるシンボルエンカウントか否かではなく、敵が登場するエリアが固定されているか、レベル依存かの分け方です。

出現エリアが固定されている場合

 主にシナリオに沿って世界を探検するタイプのRPGに多く見られ、ファミコンなどの初期のゲームでよく見られます。

 エリア毎、ダンジョン毎に適正レベルが設定されていて、プレイヤーにとってはそのエリアに足を踏み入れるリスクとして機能します。

リスク
 危険な地帯に足を踏み入れる
リターン
 シナリオの進行
 新しい装備やアイテムの入手

 この形式は先にリスクを用意しておくやり方と言えると思います。

採用ゲーム例

 ドラゴンクエスト、アルテリオス、桃太郎伝説、ウィザードリィ、女神転生等

主人公の強さに依存して変化する場合

 戦闘回数をこなし、主人公が強くなると敵が強くなる形式のものです。主にオープンワールドで、提供された世界で往復が多い場合などはこの形式が見られます。
 
 シナリオの進行によっては何度も同じ町を訪れたりする都合上、エリア毎の設定では作業感が強くなるのを防ぐ機能があります。

リスク
 敵が強くなる
リターン
 自分自身が強くなる

 この形式は先にリターンを与え、結果としてリスクが増大するやりかたと言えると思います。

採用ゲーム例

 ロマンシングサガ、Mount & Blade、オブリビオン、スカイリム

主人公だけが強くなってしまう例

 レベルアップ等の強化と周囲の強化に関連性が無いゲームと言えば、信長の野望等の戦略SLGが挙げられると思います。

 天下統一が近づくにつれ自軍は非常に強くなるのですが、敵対NPCの強化は伸び悩みます。
 
 このギャップが終盤になるほど強くなる作業感の正体です。これはゲームデザイン上の宿命、あるいはジャンルの宿命ともいえるかも知れません。

Mount & Bladeの場合


 より具体的な例としてMount & Bladeを上げたいのですが、主人公自身の成長と共に盗賊等の人数が増えていくようになります。
 
 部隊運営のゲームでもあるので部隊強化も見ておきたいのですが、おおよそ以下のようなリスクリターンが見られます。

コンパニオンのレベルアップ

リスク
 給与のアップ
リターン
 戦力の上昇
 パーティスキルの強化

mob部下のクラスチェンジ

リスク
 給与のアップ
リターン
 戦力の上昇

部隊人数の増加

リスク
 食料などのリソースの消費量が増える
 支払い給与の総額が増える
リターン
 戦力の上昇

 一応戦略SLGのような側面もあるゲームなのですが、城の攻略に関しても以下のようなリスクリターンが用意されています。

城の攻略

リスク
 戦力が一か所に集中する
リターン
 収入が増える

 特に戦力の集中は案外曲者で、最後の城の攻略時には全諸侯が集中しておりそこそこの戦力が求められるようになります。

 戦力を集めるにはこちらも諸侯を集めねばなりませんが諸侯を集める際にもそれなりにリスクが存在します。

諸侯の引き抜きのリスクとリターン

リスク
 人間関係が悪化しやすくなり、諸侯の離反により戦力が減る可能性がある
リターン
 相手の戦力を削れる

 概念的な作業が増えるようになり、案外ここがつまらないと感じる事もあります。視覚的な解りやすさとしては1部隊を運営して戦闘している方が楽しいですからね。

 毎回諸侯になったあたりでやめてしまう傾向があるのですが、外交関係に面白さを見いだせていない、プレイヤーは戦闘狂な側面が上手くマッチしていないのだろうなと思います。
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人間が知覚出来る個数には限界があります。

 例えば、言葉は同時に一つしか認識できません。ラジオをきちんと聞きながら小説を書き下ろしたり、発言をしながら相手の話に耳を傾けたり、文章を読みながら人の話を聞くことは出来ません。

 それと同じように、同時に認識が出来るものはだいたい3が限度で、意識して4つ目を認識する事がやっとできるように人間できています。5つ目以降は非常に認識が困難となります。

 頭の中で思い描いてもらいたいのですが、3x3の9マスはぱっと思い浮かぶでしょうが、4x4の16マスは思い浮かんでも3x4までで1行か1列がどちらかが消えてしまうはずです。5x5の25マスは非常に困難を極めます。だから、1ダース12個という中途半端な数字が残ったのも物を箱に入れる際に3x4だと数えやすく並べやすいからです。

 13が不吉な数字とされるのも13以降は認識しづらいという体の仕組みを、宗教的な物に乗せたものです。見落とすものが増えると、それは混乱の元となります。

 一時的に表示される素材など、リソースの種類は無制限に合って構いません。もちろん、それぞれ使う所がきちんと存在している事が条件ですが、種類を増やす事そのものは問題はありません。しかし、常時表示されるものや素材として要求されるものなど、認識が必要な物に関してはあまり沢山のリストが存在すると、それだけでやる気をなくしてしまいます。

 実例として、DMMのアダルトゲームに3Dグラフィックを利用したゲームで、1年持たなかったロイドマスターというゲームがあります。まぁゲーム性もイマイチだったのですが、素材の数が12種類ありまして。これを常に表示していたのがプレイヤーの混乱を招きサービスの寿命を縮めたのだろうと思っています。もちろん、それ以外にも縮める要素は有ったとは思います。

 何かミッションを受ける度にこの資源を消費するのですが、回復方法が不明瞭である事から何回このミッションが出来るのかがプレイヤーには上手く伝わりませんでした。もっと資源量を調節して、いっそのこと資源をロイドの作成だけにしていれば12種類でも問題は無かったように思います。そうすれば、画面もシンプルにできたはずです。

 人間は、選択肢がある事で実は不幸になります。2つあるだけで、片方を選ぶと、もう片方を選んでいれば、という気持ちが生まれます。だから2つでさえ迷います。何かを沢山用意する時は、プレイヤーに悩んでもらいたい場合、検討してもらいたい場合にのみ使ったほうがいいでしょう。

 確認させたいときは4つまで。それ以上の物を使わせたい場合は4区切りで段階を用意しましょう。できればその段階も3段までが望ましく、よほど特殊な理由が無い限りは2段までが無難です。3段以上は心のハードルが乗算で増えていくだけでなく、4段目以降は覚えきれない可能性が高くなってきます。

 この体の仕組みを逆に利用して、あえて4段以上の要素を作るのも良いとは思います。ただし、なるべく長編でだけ使ったほうがいいとは思います。

 世の中に3部作が多いのも人間がそうできているからで、そういう物だと覚えてしまいましょう。常に表示される確認用のステータスは4つまで、です。
ゲームを作る際に、コンセプトと照らし合わせて要素の追加、削除を行うコンセプトワークは完成度を高めるために必須と言われています。が、そのノウハウについて語られる事はほぼありません。今回は独学では有りますがそのやり方や、コンセプトから外れたものの見つけ方の一つについてですので、使えそうなら使ってみてください。

準備
戦闘
リソースの検討

 ここ最近のゲームは大体このサークルで作られています。表は左回りにみて下さい。簡単に説明するとこうなります。

  1. 戦闘でリソースを手に入れる
  2. リソースを消費して装備などを手に入れる
  3. 装備品を選択して戦闘に向かう

 この3つをサイクルしています。切り分けるかシームレスにするかはそのゲームによりけりですが、大抵の場合、同様のサイクルをより制限して戦闘に盛り込んでいたり、リソースをさらに入手するためのサイクルが作られている場合が多くみられます。戦闘に盛り込んだ場合、リソース部は準備で持ち込んだものになります。いくつか例を挙げると以下のようになります。

戦闘 準備 リソースの検討
モンハン クエストへの出発 装備品、所持アイテムの決定 お金を消費して装備の購入、素材、アイテムの補充
モンスターとの戦闘 納刀、抜刀、使用アイテムの準備、罠設置 持ち込んだアイテム、入手したアイテム
ドラクエ モンスターとの戦闘 装備。パーティ編成。所持アイテム お金、経験値、クエストの進行度合い。アイテム整理。
ファイエム 自軍ターンの終了 ユニットの再配置や回復、攻撃、買い物 彼我のユニットの配置
艦これ 出撃 艦隊編成 艦娘の数
艦娘入手 消費資源の決定 艦娘の数

 難しく言うと、コンセプトワークとはこういった色々なサイクルがそのゲームのメイン部であるサイクルを広げるような形になっているかどうかを検討するもので、あらかじめあるパラメーターや追加した要素がそのサイクルからはみ出ていないかを見直す作業と言えます。

 見直す作業を行う際、忘れてはいけないのは、このリソースを準備して戦闘に出たらどうなるんだろう、とか、こうなるんだろうか、といった期待や好奇心になってプレイヤーを動かしているかどうかです。つまり、プレイヤーから見るとあの表は逆の右回りになります。

  1. リソースから戦闘を予想する
  2. 予想した戦闘に必要な準備を行う
  3. 準備のために必要なリソースを消費する
 場合によってはこの準備(装備)を戦闘で試したいから、このリソースが欲しくて、そのリソースが手に入るからこの戦闘に出る、ということもあります。

 重要なのは、リソースが動機を産み出している、と言う点です。なので、その期待に応えるためにはこのリソースを持っているときはこうなるよ、と言うのを用意しておかなければなりません。

 例えば着せ替えなどはそうなのですが、リソースの消費なしに手に入ったものに関しては人はそれほど見返りを求めません。バイオハザードのクリア特典の衣装などは、ゲームに一切関係ない事を知っています。が、デドアラビーチバレーでは見た目のためにお金をかけます。プレゼントした水着をNPCの際に選んで着てくれるというバックがあります。艦これの中破に関しては、戦闘の結果であり、リソースを消費した結果ではないため特に特殊な効果が何もなくとも不満はありません。

 同人ゲーなど、個人で作る場合、この着せ替えで見た目が変わるだけで力尽きてしまいがちです。が、そうではなく、その衣装の時、特定の場所に向かうと何かが起こるといった見返りを、特にそのゲームの芯となるような部分に用意すると面白さというか期待が増します。

 もし、追加した要素が特にこれと言った見返りも無く、ゲームの戦闘部にも影響を及ぼさないのであれば、思い切ってカットしてしまうのもコンセプトワークの一つです。
実際の数値がどうであれ、人間は試行回数で数を把握してしまう生き物です。という事は、何回でどんな心理を抱くかという物を把握しておけば、ゲームバランスを取り演出を行う際にも役に立つはずです。

 この試行回数自体は、プレイヤー側への試行回数にも当てはまります。両方を把握しておくに越したことはないと思いますので、表にまとめてみました。試行回数1は、敵の場合は一撃で倒せる敵、味方の場合は、あと一撃で倒される状態を指します。

試行回数と心理
試行回数 敵への試行 味方への試行
1 ストレスなし。 危機感。必死。
2 ストレスなし。 危機感を覚える。
3 ストレスなし。 危機感を覚える。
4 手ごわい。けどまぁなんとか。 まだ余裕
5 手ごわい。 余裕
6 手ごわい。 余裕
7 硬い。 自身の強さを実感
8 硬い。 自身の強さを実感
9 硬い。 自身の強さを実感
10 強敵。 自分が強すぎてちょっと退屈
11 強敵。 自分が強すぎてちょっと退屈
12 強敵。 自分が強すぎてちょっと退屈
13以上 場合によってはラスボスクラス 優越感に浸れるが面白くない

 常に2発から3発で殺されるような相手との戦いを続けていると、特にアクションゲームは上達が早くなります。また、この試行回数そのものは攻撃を受けた回数、攻撃をした回数に留まらない。例えば戦闘回数にも変換することが出来きます。

 RPGでのレベルアップ等、あと9回の戦闘なら耐えられるが、あと10回だとやる気がそがれてしまいます。そのほかにも、SLGなら一回の占領で相手の拠点を落せる状態と数回の占領を要する場合では部隊の配置などが変わってきます。RPGでも1ターンで殲滅できる相手はパーティ全員で5発殴っても手ごわいと思いませんが、2ターン目に突入すると、すでに5回殴っているので敵パーティに対して「硬い」という印象を抱きます。また、学習したプレイヤーは同じ敵パーティに対して硬いと思うし、これが1ターンで倒せるようになると大きな成長の喜びを見出すようにもなります。認識の大きさ、範囲は常に変化するので注意と研究が必要です。

 ステージ数や章などについてもこの心理は応用が可能です。大きな大きな構成としては3章ですが、その中の構成は1章につき9ステージ毎であったり、特定の勢力を倒すのに4ステージをかけたり、あるいは新しい勢力が登場するのに4ステージ開けて印象を植え付けるなど、試行回数による心理描写、心理誘導は様々な場面で活躍が期待出来ます。お笑いの天丼(繰り返すギャグ)でも4回目はくどいと感じるものですし、食べる方の天丼でも、恐らく同じてんぷらは3つまでです。

 次のスキルを習得に必要なレベルが3であればあと少し、4だとちょっと遠く感じるし、スキルツリーであれば、4レベルの間なにも成長できなければプレイヤーはつまらないと感じるでしょう。しかし、プレイヤーが選択しなかったとしても1レベルから3レベルの間にスキルツリーが解放されていけば、プレイヤーは成長を実感することが出来きます。

 バランスを取る際、心理バランスが大前提であることを忘れないで下さい。
RPGは特にそうですが、敵の数値をどう設定するかについては適当にやってはいけないと理解しているものの、どう設定していいか解らない人は多いと思います。何も考えず設定した結果、とんでもないダメージが出たり、逆に弱すぎたりして調整を何度も繰り返す。一日中同一のフィールドで戦闘していた、というのも別に珍しい事ではありません。

 ここの数値の設定方法はとにかく何回も試して数字を変更する、というのが最もベタな手段ですが、やみくもにこれをやっていると非常に疲れます。プレイヤー側を調整し、モンスター側を調整し、結果全体的にやり直したりと言う無限ループに陥ったことが実際何度かあります。

 カンでやっている間はこのループからはなかなか抜け出せません。無限ループから逃げ出すには大雑把な地図が必要です。簡単に言うと、攻撃回数を決める、という事ですね。桝田省治氏によるRPGのゲームバランスの調整方法はこのやり方を取っています。

 ここでもう一つ問題になってくるのが、レベルアップの成長速度です。どのくらいの速度で成長させるのがちょうどいいのか? あまり早く成長させすぎると難易度が下がりすぎてしまうし、フィールド間での敵の強さに大きなばらつきがでてしまいます。なので、なるべくゆったりとしたグラデーションをイメージした方がいいでしょう。しかし、あまりにも緩やかだと成長を実感できません。

 プレイヤーが強さを実感できる瞬間がどんな時かというと、まず最も単純で効果的なのは新しい技を覚える事です。ただし、増えすぎると煩雑になり混乱の元なのであまりこれに頼るのもよくはありません。次に強さの実感を得られるのは、通常攻撃で倒す回数が減った時です。とても地味ですが雑魚戦というものはストレスを感じるものなので、ここの回数が減るとストレスの軽減につながるし、なによりも計測しやすい長所があります。

 なので、成長の速度のバランスを決める際には、初遭遇する敵キャラを3発で倒せる程度にしておき、2発で倒せるのはどのイベントの時なのか、1発で倒せるのはどのイベントの時なのか、という想定レベルを作りましょう。他の敵キャラは2発で倒せるとき2発ぐらいだけれども、1発で倒せるようになってもまだ2発とか、2発で倒せるときは3発、1発で倒せるときは2発とか、回数で調整を取ると数値のバランスもとりやすくなります。

 これはプレイヤー側も同様で、適正レベルなら何もしなければ5戦闘、10発で死ぬと決めておけばプレイヤー側のバランスもとりやすくなります。

 同時に、これは最低限強さを実感できる物語の長さでもあり、最初に遭遇した雑魚が1撃で倒せるぐらいの強さの時にエンディングを迎えるぐらいが、短編のゲームとしては丁度いい長さと言えるでしょう。長編であればこれを節目として利用してやれば効果的です。節目3つで中編、初期のドラゴンクエストぐらいですね。節目3x3の9つで長編。俺屍は長編と考えても良いでしょう。

 とにかく、人間は回数で判断をする生き物なので、設定している数値というものは強さの物差しではありますが、それ以上に演出としての側面の方が強い、と覚えておきましょう。
  
プロフィール
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自己紹介:
素材屋GY.Materialsを運営。
TRPGや同人ゲームなどを制作。イベントプロデュース等。
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