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同人ゲームやフリーゲームはもちろん、ゲームデザイナーを目指す人、これからゲームを作りたい人、今もゲームを作っているがなかなかうまくいかない人向けの、ゲーム開発に関するブログ。

カテゴリー「感想と解体新書」の記事一覧
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損のデザイン

限定された期間
 なし
リソースの管理
 あり
明示された選択肢
 あり

分析と感想

 FPSの良作。特に開発者のコメントが見られるので、ゲームデザイナーを志す人は一度触れてみて欲しい一作です。シンプルにするほど面白くなる、といった名言が随所に散らばっていますし、開発の際に苦労した点や工夫など、生の意見に触れることが出来きます。

 ゲームモードにもよりますが制限時間は特には設定されていません。ただし、一時的に、特定の感染者にマウントを取られたときなど、ところどころに現れることが有ります。

 各武器に設定された弾薬はリソースとして機能しています。ハンドガンは所持弾薬こそ無限にありますが、装填数には限りがあるため、いつリロードするのかは管理として強く機能しています。

 所持弾数に限りのあるメインウェポンは3種類の分類に分かれ、うち2種類に上位互換の武器が存在します。このメインウェポンに何を選ぶかは攻略の上で重要なカギとなり、またプレイヤーの個性が発揮される場所でもあります一撃の強い近距離のショットガンを選ぶか、弾をばらまけるマシンガンを選ぶか、それとも大概は一撃で倒せるが連射の利かないハンティングライフルを選ぶか。操作キャラにこそ性能差はありませんが、用いる武器によって立ち回りが変わってくるので、どの武器を選ぶかは重要な選択肢と言えます。

 色々と学ぶべき点の多いゲームですが、特にバランスのとり方についてはこのゲームを教材としても良いと思います。AIにより登場する敵の数、種類を決定しており、難易度をプレイヤーに合わせて調整してくるのですが、その調整の仕方が秀逸と感じます。

 敵のキャラクターの種類もそれほど多くなく、通常感染者、ブーマー、ハンター、スモーカー、タンク、ウィッチの合計6種類しかいません。さらに、ウィッチの登場回数は少なく、タンク、ウィッチに関しては専用の音楽が流れるため無理に記憶せずとも曲と関連付けて覚えることが出来ます。

 通常戦闘で紛れ込んでくる特殊感染者は、敵を集めるブーマー、飛び掛かってくるハンター、そして拘束してくるスモーカーの3種ですが、3種類に絞っているからこそ、ラッシュ中などにおいても認識がぎりぎり追いつく範囲にまとまっています。

 なによりも、特殊感染者を出すために大量の通常感染者との戦闘がある事。これが素晴らしいですね。

 人間、慣れる生き物なので、マップの構造やルートを把握していても通常の敵との戦闘が長く続くと、ついブーマーやハンターの事を忘れてしまいます。そして、慣れてきたであろう所で彼らを突然配置し、罠にかけて来る。

 ゲームを通して、プレイヤーも含め、彼らの強さは基本的に変わることはありません。にもかかわらず難易度を上手く調整出来ているのは、この慣れてきたところにスパイスを用意する、AIの働きによるところが大きいと言えます。

 ラッシュを用意したり、特殊感染者を用意したり。こんなところでタンクかよ等、ただただ感染者との戦闘に終始するのではなく、突然起こるハプニングを上手く難易度に利用しています。これは空気作りの一環でもあると思いますが、全体を通して非常に洗練されたコンセプトワークが成されているので、どのジャンルを作るにしても一度は触れてもらいたい名作と、個人的には考えています。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。L4Dの場合は様々なリスクリターンが混在しています。基本ルールとしては移動してゴールであるセーフハウスを目指すだと思います。ゾンビを倒しては少しずつ進むゲームですから、強引に進むと囲まれてしまうリスクが存在します。ならばその場で敵をすべて倒してその場に留まり安全を確保すると言うのが定番なのですが、このゲームの面白い所はAIディレクターによりその場に留まり続けるとラッシュが発生したり後ろから襲われたりと、スタート地点以外では絶対に安全が確保できない仕様になっている点です。

 なのでプレイヤーは休憩時間と戦闘回数を天秤にかけながらステージを進行していくことになり、ここが有る意味ではリターンであると言えると思います。

L4D 基本のリスクリターン

リスク
 戦闘回数が増えるかも知れない
リターン
 休憩時間が取れる

 相手が一撃で倒せるとは限らない仕様上、あまり命中率などもリスクリターンとしては機能していません。敵が多いため適当に撃っても当たりますし、ゾンビが遠慮なく接近してくるため戦闘のほとんどは目の前で発生します。なので敵との距離が近いほど倒せるリターンが大きくなると言うようなものでもありません。

 厄介なのは特殊感染者です。彼らはそれぞれに攻略法が異なります。例えば基本的には距離を気にしなくていいゲームではあるのですが、ブーマーやタンクは近距離で戦ってはいけません。ブーマーは極力遠くから、タンクは逃げながら倒さないと危険です。所がラッシュ時では足を止めていることが多いため、この2体は極めて危険な相手となります。

 ハンターやスモーカーは単体では他のゾンビと大差ありません。なんなら銃では無く殴り倒しても問題の無い相手です。不意打ちに気を付けていれば大した脅威ではありません。

 しかしウィッチに関しては戦わない、ライトを向けない、無視するというのが攻略法となります。倒し続けるゲームなのに倒してはいけない場面が突然発生する。やらなくてはいけない事がやってはいけない事に代わる敵で、タンクやブーマーとは違ったベクトルでゲームチェンジャーの役割を持っています。

 プレイヤーがこなすべきルールが、時としてプレイヤーのやるべき事、やりたい事と相反する時、プレイヤーは戦略等を考える楽しさを得ると言う原則をL4Dは示してくれているように思います。
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損のデザイン

限定された期間
 あり
リソースの管理
 あり
明示された選択肢
 なし

分析と感想

 パズルゲームの名作の一つで、向いている方向にしか進めないレミングスをゴールに導くと言うゲームです。何も命令していなければ前に進み、壁に当たると向きを反転する挙動を繰り返します。彼らは目の前に炎が有ろうとも崖が有ろうとも迷いなく直進するので、トラップを上手く回避できるよう、穴を掘ったり階段を作ったり、特殊能力で壁を登らせたりと様々な命令を与えながらゴールへの道筋を作っていきます。

 各ステージには時間制限と、ゴールさせる目標人数が設定されています。時間内にその人数を救えなければそのステージは失敗です。この時間制限で難易度が大幅に変化し、難易度easyでクリアしたステージがhard等で再登場し、前クリアしたしと油断していたら時間が足りずクリアできなくなったりします。

 各レミングスに与える事の出来る命令の数がリソースとして機能しています。恐らくですが、ステージ作成の際に、まずは正解の手順を決定した後、正解の手順を増やすためこのリソースの量を調整する作り方をしていると思います。同じマップでも命令の数が異なることも良くあります。コマンド数が8なのも人間の認知としては迷わせるのにちょうどいい数です。

 レミングスを名作たらしめているのはやはり自爆コマンドだと思います。ルートを作成するためストッパーを用いるステージはかなりの数に上ります。ですが、このストッパーは大抵の場合、ルートが出来上がると自爆して殺される運命にあります。そのうち慣れるのですが、初めてこの攻略法を見出した時、多くのプレイヤーがこうつぶやいたことでしょう。「ごめん」と。そして、この「ごめん」はいろんなシーンでもついつぶやいてしまいます。ルートが出来上がったと思ったのにトラップを一つ見落としていて、そこにレミングスを大量に送ってしまったとき。あるいは段差を見落として引き返してしまい、その先が崖や炎だったとき。プレイヤーの判断ミスで大きな犠牲を出してしまったとき、ついごめんと言ってしまいます。

 レミングスは当然生きていないしただのドット絵に過ぎないのですが、プレイヤーの判断、操作ミスで死んでしまう、殺してしまうと言う所に心理的な損が発生しています。実にうまい作りです。愛着と言うものかもしれませんが、この手の損を上手く作れたゲームはだいたい名作ですね。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。レミングスの場合はどうでしょうか?

 色々と思いつくのですが、危険性と報酬を突き詰めて考えると、レミングスは常に移動しています。そして移動した先にはトラップや崖などの様々な障害があり、これを乗り越えて道を作る事がリスクとリターンと言えるかもしれません。なので、基本的な物は以下のような形になると思います。

リスク
 レミングスが死ぬかもしれない
リターン
 トラップ等の困難を乗り越える安全なルートが出来る

 となると戦略はリソースの管理部分に当たるかと思います。つまりどのコマンドをどこでどのタイミングでいくつ使うか。

 実際難易度の低いステージをみると、崖やトラップの障害の数であったり、コマンドが使える面積が広く、コマンド数も多いと言う事で余裕があります。この余裕があまりにも多いと作業ゲーとなってしまうかもしれません。

 レミングスの場合は登場する数に上限があり、目標とする生存数、そしてタイムリミット等も存在しています。これらをゲームとして成立させているのはなによりもレミングスが常に左右に動き続けてしまうという性質では無いかと思います。

 時間をかけすぎるとタイムリミットに間に合わなくなります。
リスク
 タイムリミットに間に合わなくなる
リターン
 じっくりと考える事が出来る

 死亡数を無視すると目標の生存数に届かなくなってしまいます。
リスク
 目標ノルマを達成できない
リターン
 安全なルート構築のロケハンは出来る

 クリアの為には時にはリスクを背負って、ステージの失敗を覚悟のうえで臨む必要もあるでしょう。プレイヤーの思い通りに動かない相手が救出対象というのもこのゲームの面白さを産んでいる要因かもしれません。

損のデザイン

限定された期間
 なし
リソースの管理
 あり
明示された選択肢
 あり

分析と感想

 将棋はどの学校にも部活があるぐらい国民的なテーブルゲームの一つです。チャトランガと呼ばれたゲームがシルクロードを渡り世界へ広がる過程において、極東で将棋になり、西洋でチェスになったと言われています。世界各地で何度もルール改正やら駒の種類の増減、盤面の大きさ変更などが行われ、将棋も例外ではなかったそうです。

 素人が友人と指したり、部活で部員同士が適当に指す将棋では限定された期間は存在していません。あまりに考える時間が長いと怒られるかもしれませんが、明確に何分という規定はありません。ただし、プロでは持ち時間が設定されています。尤も、この持ち時間はゲーム性の為ではなく対局をスムーズに行うためなので、ゲームデザイン上においては限定された期間は存在していません。

 将棋がユニークなのは持ち駒の存在で、相手から取得した駒が新たなリソースとして機能するようになっています。この持ち駒というリソース管理の追加は付加価値が上手く機能した好例と言えるでしょう。

 明示された選択肢は、元となった(とされる)チャトランガやチェスが持っているもの、すなわち、盤上の駒と、各駒の移動範囲です。どの駒を動かすのか、2マス以上動けるものはどの場所に動かすのか、相手の移動範囲をどう制限していくか、逆にどう乗り切るかなど、選択しなければならない物はその時々により変化します。また、敵陣に入った際に成るか成らないかの選択肢も明示されています。

 長い時間を経てこの9x9マス、8種の駒に落ち着いたのには、恐らく認知の問題がそこにあると思われます。横9マスは、王将を中心として左右に4マス。これは人間が意識して認識できる範囲の限界で、最下段は左右対称となるのもこれに起因します。さらに縦の9マスは3分割して3マスずつと認識しやすいエリアを構成しています。特に自陣が3マスとなるとどこを動かすかは非常に認識しやすいのだが、4マスとなると途端にめんどくささが勝ります。古将棋を見てもらえれば解ると思いますが、初期配置を見るだけでやる気がそがれます。

 広くなるとやる気は無くなりますがかといって狭くても混乱をしてしまうもので、7x7の禽将棋はごちゃっとした印象を受けます。余白が無いため、そして認知として7x7をすべて認識してしまおうとするためと、駒の名称がどれもこれも画数が多いため判別しづらいなどが要因です。

 古将棋と本将棋を見比べる事で認識しやすいデザインとは何かも知ることが出来ると思いますので、時間があればやってみて下さい。

追記
 余談ではありますが、AIの進歩によりプロ将棋の中継では勝率が表示されるようになりました。この勝率表示は将棋のルールが解らない人にも直感的にどちらが優勢か解りやすく、非常に良いUIとして参考にすべきものと個人的には考えています。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。将棋の場合はどこにリスクとリターンが存在するのか整理してみます。

 将棋の場合はコマですよね。接触して相手のコマを倒す事により、自軍の手駒も増え、相手の戦力は減ります。一方で座標が変わってしまうため、どこかにスキが発生します。 元々は持ち駒というような概念が無かったと言われていますので、持ち駒が無い場合は以下のような形になると思います。

リスク
 何かしらの駒が危険にさらされる
リターン
 相手の駒を減らすことが出来る

 リスクを押さえてリターンを得るには個々の駒の移動範囲を把握し、陣形を組む必要があります。陣形を組まれてしまうとゲーム性はその陣形をいかにして崩すかという内容に置き換わるのではないかと思います。

 つまり、戦略としては陣形の構築、撃破、再構築、その妨害というような感じになるのではないかと考えます。

損のデザイン

限定された期間
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明示された選択肢
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分析と感想

 一口にポーカーと言っても色々な種類があります。中でもテキサスホールデムはポーカーの世界戦などでも使われるルールで、日本ではあまり馴染みは有りませんが、アメリカではこちらが主流です。モンスターハンターTRPGのルールの原型にもさせてもらっています。詳しいルールについては、各自で調べて下さい。

 通常の5枚の手札を自分で持つ慣れ親しんだポーカーですと、手札の交換を何回まで行うかについてローカルルールが存在する場合があります。ゲームセンターにあるものは大体一回ですが、家庭や旅館で遊ぶ場合は、誰かがストップをかけるまで、と言う事もあります。

 テキサスホールデムではこれに対して回数が決められていて、共有のカードが一枚配られるたびに乗るか、降りるかを迫られます。

 通常のポーカーであればどの手札を交換するかとなり、手札は当然リソースと言えます。テキサスホールデムの場合は管理と言うよりリソースを生かすか畳むかの選択になります。むしろチップ管理の方がリソースとしてのウェイトが大きいでしょう。ここでは今の手役が伸びそうか否かの選択が重要となります。ワンペアならいくらでも伸びる可能性はありますが、ストレートの場合、役は頭打ちになります。場でワンペアが出来上がっていた場合、もし相手にワンペアが出来上がっていたらフルハウスまで伸びる可能性があります。

 元々、勝負するか降りるか、と言う選択肢が明示されています。いつ勝負するかはローカルルールによりけりですが、テキサスホールデムの場合、これを数回に分けて行います。最初に配られた手札、場のカード、追加のカードなどで勝負に乗るか、勝負から降りるかと言う選択肢が常に提示されています。

 ポーカーの面白さはカードの選択に期間の制限とリソースの管理が詰め込まれている所で、テキサスホールデムは勝負の選択回数を増やす事で期間の制限をより強く意識させることに成功したデザインです。付加価値によるアレンジの好例と言えるでしょう。

 世のソシャゲーも、付加価値が負荷価値とならないよう、テキサスホールデムを見習ってみるのも良いと思います。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。ではポーカーのリスクとリターンはどこにあるのでしょうか。

 一般的なポーカーの場合、手札の交換で役が良くなるかもしれないと言うリスクリターンがあります。テキサスホールデムでは、場のカードがめくられる度にベッドで乗るか、降りるかのゲーム性が発生していると思います。どちらかというと賭け金に対してのゲーム性が強いように思います。

賭けに対するリスクリターン
リスク
 手が負けて賭け金を失うかもしれない
リターン
 相手に買って賭け金が増えるかも知れない


 このリスクリターンに対して戦略性と言えるのは各自の伏せカードでしょう。

 自分自身が伏せているカードが共有しているカードに対してどの程度の展望が見られるのか。そして相手がいくらベッドしてきているのか等を探りつつ、リスクを取るか、リスクを避けるかを判断する。ここに戦略性と面白さが隠れているのではないかなと思います。

 次に期待したカードが出てくるか否かはやっていて楽しいですし、変化や驚きといった感情の動きも伴います。見た目で解りやすいと言うのも一つの要素だと思います。長く愛されるゲームにはそれなりの理由が存在しますね。

損のデザイン

限定された期間
 あり
リソースの管理
 なし
明示された選択肢
 なし

分析と感想

 もっとも原始的なゲームの一つです。ゴールまでサイコロを振り、出目を競うというただの運ゲーに過ぎませんがベースがしっかりしているために色んな要素が乗せやすく、人生ゲームであったり、モノポリーであったり、いただきストリートであったり、桃鉄であったりと、数多くの派生作品を生み出しています。

 ただただサイコロを振るだけなので、出目は損になりうるものですが必ず一歩は進むし、必ずゴールは出来ます。このゲームは一人でやると損は一切発生しません。だから一人でやる双六は面白くありません。サイコロの出目が本当に損として機能するためには対戦相手が必要です。

 つまり、限定された期間というのは対戦相手がゴールするまでの期間、それまでに何マス進めるかをダイスに託すから面白さがそこに発生すると言う事になります。ただし唯の運ゲーなので比較的早い段階で限界は必ず訪れます。

 この運ゲーと言う欠陥を回避するために、ただ高い目を出せばいいわけではないというアレンジが成されたゲームが多数存在します。人生ゲームがいい例ですが、何かしら損をするマスだったり得をするマスだったりを用意します。すると、特に損をするマスに対してはそこに飛び込みたくないという思いから、よりダイスを握る手に力が入るようになります。

 あとはこれに交渉の要素やらお金のやり取りやらと言うリソースの管理を加えればモノポリーやいただきストリートに変化するし、どっちに進んでもいいと言う選択肢を加えると桃太郎電鉄に早変わりします。

 マス目からマスでの出来事など無限大のアレンジが可能なので、パーティの幹事等でミニゲームを企画する際には、これが一番やりやすいのではないかと思います。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。双六のリスクとリターンについて考えてみたいと思います。

 ……といっても、純粋にいわゆる絵双六と呼ばれるものに関してはリスクもリターンも特に存在しなくて、常に一定の物しか存在しません。双六は上記でも書いていますがただの運ゲーです。選択や操作が存在しないためプレイヤーがリスクを選択すると言うようなこともありません。

 絵双六が楽しまれる要素は競争と盤に描かれた絵でしょう。一人でやって楽しいものでも無いですが、一緒に駒を進める相手が居ればそこそこ楽しめます。賑やかな絵は演出として大切で、個人的には紙芝居エロゲが好まれる要素に近いものが無いかなと思っていたりします。

 つまり、変化を用意してくれる対戦相手。ヒロインや友人キャラとストーリーですね。そして、背景に描かれた演出。ゲームとしてではなく出来事として楽しむにはこれで十分です。

 ストーリー上で主人公が窮地に陥ったり優位にたったりする場面は、盤面でコマが抜いたり抜かれたりする、その運ゲーによる見た目の変化にも置き換えられます。追い付いてきた、抜かせるかもしれない。そういうワクワクはゲーム実況等の観戦者の視点に近いものだと思いますし、楽しい体験が出来ればそれでいい訳ですから、ゲームではないがゲームとして楽しまれる不思議な双六は、ゲームを作る側としても時々振り返ってみるにはいい題材なのではないかなと思います。

 また、プレイヤーが練る戦略と言うものが必ずしも論理的である必要が無いと言う事も双六は示してくれているように思います。さいころをふる前に高い目が出ろと念じる様々な行為。儀式のようなものですが、あれをやる事でいい目が出たら次もそれをやろうとしたりします。実際はなんの効果も無いんですが、そういう儀式にはゲーム性を錯覚させる何かがあるのかもしれません。
  
プロフィール
HN:
色々ありすぎでどれを名乗ろうか
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男性
自己紹介:
素材屋GY.Materialsを運営。
TRPGや同人ゲームなどを制作。イベントプロデュース等。
P R
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