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同人ゲームやフリーゲームはもちろん、ゲームデザイナーを目指す人、これからゲームを作りたい人、今もゲームを作っているがなかなかうまくいかない人向けの、ゲーム開発に関するブログ。

カテゴリー「行動経済学とゲームデザイン」の記事一覧
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ゲームは勝利を目指すから面白いのであって、勝利が約束されていると面白くはないものです。が、得をするだけのゲームと言うのは、作業感が強くなってしまいます。絶対勝てるゲームは面白くないのです。

 面白いゲーム、面白くないゲームを分けるのは、そこに失敗や損の要素があるかどうかです。そして、損を強く認識するために、初めに得をさせる。これは行動経済学によって証明されていますが、人は損を避けようとし、損を大きく記憶するように出来ています。つまり、ゲームが面白いと感じる瞬間というのは、損を回避できた瞬間でもある訳です。

 例えば、マリオは中間地点を通過することでスタート地点へ戻る損を回避できます。中間地点に限らず、各面に存在する難所は突破することでスタートへ戻る損を回避したり、回避する方法を見出す事によって、そこに快感が生まれ、面白いと認識しています。

 もう少しでこの損を回避できそう、と思うこともまた面白さで、どうやったらこの損を回避できないか、という頭の中でのシミュレーションや模索が楽しく、また、その実践も楽しいものでして、どうやら人間の脳というのはそういう風にできているとの事です。

 実はこの損、なにもゲームに限った話でもありません。同じ作者の作品でも、史上最強の弟子ケンイチは面白いとの声が高いが、それに対してトキワ来たれりはあまり面白くないとの声が多く見られます。何故か。史上最強の弟子ケンイチは最初から弱者という損を強いられている立場であるのに対して、トキワ来たれりは最初からほぼ最強であるため損をしていないからですね。

 では同じく最強の立場でありながら熱狂的なファンが多いゴルゴ13はどうでしょう? 初期の頃からそうですが、中期以降は特に、ゴルゴ13の物語構成は各話の主人公ではない割合が増えていきます。物語の主人公は何らかの得を狙うものであったり、大きな損をした、もしくはしそうな組織がその損を回避する解決策としてゴルゴ13を雇うと言うパターンです。また、ゴルゴ13自身が主人公の話ではゴルゴ13が損をこうむっています。自分の正体を暴かれたり、命を狙われたり、あるいは依頼ルートを壊されそうになったり、任務がぎりぎり成功で飛行機で不時着したり……。

 つまり、損を強く認識する。そして、その損を回避する、解決すると言う一連の流れは面白ささの基礎でもある訳です。これはゲームでも物語でも感じる対象が人間である以上、決して変わらない本質と言えるでしょう。
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