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同人ゲームやフリーゲームはもちろん、ゲームデザイナーを目指す人、これからゲームを作りたい人、今もゲームを作っているがなかなかうまくいかない人向けの、ゲーム開発に関するブログ。

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2016/03/03 (Thu)
弟切草のゲームデザイン

損のデザイン

限定された期間
 なし
リソースの管理
 なし
明示された選択肢
 あり

分析と感想

 サウンドノベルと言うジャンルを生み出し、それまでのアドベンチャーと呼ばれるゲームが一気に紙芝居へと傾くきっかけになった作品です。ゲーム性を最低限の物にまで絞り込み、開発を容易にした半面、特に18禁ゲームの世界では紙芝居のものが主流になっていくきっかけを作ったと感じています。

 実際、エロゲーの歴史をちらっと見てみると、94年あたりまではそれなりにリソースを管理するものや、フィールドを探索するタイプの物がそこそこ存在しましたが、95年以降、一気に紙芝居形式の物が増加します。それまでも原型らしきものはありましたが、それでもコマンド選択式で、どこに行くかを決定していました。それすらもなくなり、主要な分岐以外は選択肢が表示されなくなっていきます。

 選ぶものと言えば女の子の選択ぐらいで、これは洗練と取ることも出来ますが、同時にゲームである以上、何らかのリソース管理などは欲しいなと思ってしまう事もあります。

 テキストさえ書ければなんとか参入でき、テキストの作成そのものもPCの普及で随分楽になりました。時には選択肢すらない、ただテキストが表示されるだけのものでさえ「ゲーム」と呼ばれるようになり、ゲームとは何だろうかと考えてしまいます。

 ゲーム性がほぼ皆無になった事で、評価の対象はシナリオ一本に絞られ、登場人物などがいかに魅力的かをシナリオで表さなければならなくなりました。ある意味では娯楽の原点回帰なのかなとも思います。小説、漫画、演劇、落語、映画、おおよその娯楽はストーリーを楽しむようにできていて、ゲームだけが、ゲーム性と言う操作、体感、経験を楽しむようにできています。疑似体験をより複雑にしたものだと思いますが、それを省き、ストーリーに力を入れるのは……まぁ、方向性としては有りうるし、実際、ストーリーが楽しめればゲーム性は無くとも満足は行きますが、ゲームとは何なのかと考える材料に感じています。

 弟切草ではゲームオーバーこそ無いものの、いくつかのエンディングに分かれており、このエンディングが見れた、このエンディングが見れなかったという、狙ったものが取れなかったという損は存在していた。ただしこの損はそれほど強いものではなく、また一作目であるが故の設計の難しさから、選択肢まで戻るのが非常に手間という損も発生し、ピンクまでは何とか出したとしてもフルコンプまでやった人は少ないと思います。

 人間、全部そろえたい、ある程度揃えたいと思う生き物ではあるので、その辺りがプレイヤーを動かしていた原動力なのかもしれません。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。ノベルゲームの場合リスクとリターンはあまり明示されていないように思います。桜井氏も必ずしも当てはまる訳では無いと言われていましたが、何か見出すとしたら新しいストーリー展開に出会えるかもしれない、という所でしょう。

リスク
 特に新しい展開は無いかもしれない
リターン
 何か新しい展開があるかも知れない

 エロゲーの話を少ししましたが、これはエロゲーでも似たようなゲーム性が有るかも知れません。要はギャラリーモードのCG解放なのですが。次の選択肢まで足早に進め、新しい展開に入ったら満足する。そう言う楽しみ方をしていたような気もします。
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