同人ゲームやフリーゲームはもちろん、ゲームデザイナーを目指す人、これからゲームを作りたい人、今もゲームを作っているがなかなかうまくいかない人向けの、ゲーム開発に関するブログ。
2024/11/21 (Thu)
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2016/01/29 (Fri)
ゲームバランスとして代表的な損。その2「リソース」
行動経済学とゲームデザインにおいて、人は損によって動かされると書きました。として、前回はゲームデザインの代表的な損として3つの要素を揚げ、そのうちの一つ、期間について書きました。
おさらいですが、ゲームデザインの代表的な損は以下の3つです。
今回はリソースについて考えてみます。
リソースを管理するゲームの例
リソースというのは資源と言う意味で、往々にして数値化されたり、アイテム化されたりします。リソースはゲームデザインにおいて最も重要な部位でもあります。リソース部がしっかりとデザインされていれば、それだけでゲームとして成立します。実例を見てみましょう。
将棋やチェスは自軍の駒がリソースとして機能している。相手に取られると損をする単純な仕組みですが、将棋の場合は相手の駒を取られる事で、相手のリソースがさらに増えると言う2重の損を生み出しています。
信長の野望などでは数値化された自軍兵士や領土、武将、お金等といったリソースをどう増やしていくか、というゲームデザインだけで成立しています。
ウィザードリィやドラゴンクエストも、リソース管理で成り立っている部分があり、使える魔法の回数、アイテムの量などをうまく管理しながら、探索を進めていくゲームと言っていいでしょう。
そしてリソース管理に特化した名作ゲームといえばマインクラフトです。ブロックを一つ破壊して、ブロックを一つ手に入れる。手に入れたブロックをいくつか消費して新しいアイテム(ブロック)を作り上げる。作られたアイテム(ブロック)を設置しそこにブロックやアイテムを放り込む事で、新たにアイテムが生まれる。
いくつ消費して、いくつ生産して生き延びるか。持っている土ブロックというリソースを、壁に使うのか、畑に使うのか。木材というリソースを壁に使うのか、屋根に使うのか、ピッケルに使うのか、はしごに使うのか、精錬のための薪につかうのか。ひとつのリソースをどう扱うかに特化したゲームと言えるでしょう。
リソース管理だけではゲームとして成り立たない
ざっくりとリソース管理としましたが、ゲームの本体そのものである場合が多いためここには様々な創意工夫が行われます。しかし、一点、これだけは忘れないでもらいたいのですが、ゲームデザインとは損を生み出す相手がいて初めて成り立ちます。
マインクラフトをべた褒めしましたが、マインクラフトと同様に創造を刺激するゲームとして登場し大いにコケたゲームがあります。セカンドライフです。セカンドライフがこけた理由はそこに損のデザインがなかったからです。
例にあげたものを見てみましょう。
将棋はすでに書きましたが、損は駒を減らされる事。そして損を与える相手は対戦相手です。
信長の野望の場合、抱える武将は同時に損でもあります。その損を補うためには領土が必要で、一つの領土には限界があります。その領土を狙うNPCが居て、奪わんとするために兵士と武将を送り込んでくる。当然、領土を奪われるのは損なので、兵士と武将をぶつけ合い、兵士と言うリソースを損させる。兵士の雇用のためにはやはりリソースが必要で、これもある面では損です。つまり、根本的に抱える兵士、武将という損をすべて解決するためには損を与える外敵をすべて片付けなければならず、この損を解決する行動こそ全国統一で最も単純なゲームクリア条件となっています。
ウィザードリィやドラゴンクエストの場合、戦闘で登場する敵はもちろん、こちらのリソースであるHPなどを奪ってくる損を与える相手です。そして、その損を与える相手とは敵のみならず、ダンジョンの構造そのものも敵として存在しています。歩くほど遭遇する率は増えます。つまり、歩数は損そのものでもあります。しかし、最短ルートを通るためにはダンジョンの構造を理解していなければなりません。よって、マッピングにより数値化されないリソースを作り、より長く、より深く潜れるようキャラクターを鍛え、装備を整える。ドラゴンクエストであればここで終了ですが、ウィザードリィの場合はこれにキャラロストの危険性と言う損をさらに設けているため、リソース管理をおろそかにした場合は大きな損をこうむることになります。
最後にマインクラフトです。手に入れたブロックはもちろんリソースとして機能しますが、それ以上に建築した拠点、建物などはもっと大きなリソースとして機能します。一応、主人公であるスティーブンのHPなどもリソースとしては存在しますがリスポーンする以上、保有しているアイテムのロストぐらいしか損はありません。よって普通の敵や地形、というものはそれほど大きな損としては機能していません。マインクラフトを名作たらしめているのは、建築物を破壊するクリーパーの存在です。同じことはセカンドライフでは発生しません。敵を登場しHPを奪う事はセカンドライフでも疑似的にできますが、プレイヤーが作った建築物を敵キャラが無差別に破壊する、というのは絶対にできません。自分の手で作った建築物が破壊される損。このインパクトは艦これの艦娘のロストに近い衝撃を受けます。そのため、これをどう回避するかという部分に意識が向けられ、面白さを見出しています。
リソースの管理のためには必ず敵対者が必要で、そのリソースは代替などで必ずリカバリー出来なければなりません。そして、その損のショックが大きければ大きいほど人はそれを避けようとするため面白さを見出します。よって、何か一つ、必ず避けたくなるリソースの損を用意しましょう。これの有無で、ゲームの面白さは格段に変わってきます。
おさらいですが、ゲームデザインの代表的な損は以下の3つです。
- 期間
- リソース
- 選択肢
今回はリソースについて考えてみます。
リソースを管理するゲームの例
リソースというのは資源と言う意味で、往々にして数値化されたり、アイテム化されたりします。リソースはゲームデザインにおいて最も重要な部位でもあります。リソース部がしっかりとデザインされていれば、それだけでゲームとして成立します。実例を見てみましょう。
将棋やチェスは自軍の駒がリソースとして機能している。相手に取られると損をする単純な仕組みですが、将棋の場合は相手の駒を取られる事で、相手のリソースがさらに増えると言う2重の損を生み出しています。
信長の野望などでは数値化された自軍兵士や領土、武将、お金等といったリソースをどう増やしていくか、というゲームデザインだけで成立しています。
ウィザードリィやドラゴンクエストも、リソース管理で成り立っている部分があり、使える魔法の回数、アイテムの量などをうまく管理しながら、探索を進めていくゲームと言っていいでしょう。
そしてリソース管理に特化した名作ゲームといえばマインクラフトです。ブロックを一つ破壊して、ブロックを一つ手に入れる。手に入れたブロックをいくつか消費して新しいアイテム(ブロック)を作り上げる。作られたアイテム(ブロック)を設置しそこにブロックやアイテムを放り込む事で、新たにアイテムが生まれる。
いくつ消費して、いくつ生産して生き延びるか。持っている土ブロックというリソースを、壁に使うのか、畑に使うのか。木材というリソースを壁に使うのか、屋根に使うのか、ピッケルに使うのか、はしごに使うのか、精錬のための薪につかうのか。ひとつのリソースをどう扱うかに特化したゲームと言えるでしょう。
リソース管理だけではゲームとして成り立たない
ざっくりとリソース管理としましたが、ゲームの本体そのものである場合が多いためここには様々な創意工夫が行われます。しかし、一点、これだけは忘れないでもらいたいのですが、ゲームデザインとは損を生み出す相手がいて初めて成り立ちます。
マインクラフトをべた褒めしましたが、マインクラフトと同様に創造を刺激するゲームとして登場し大いにコケたゲームがあります。セカンドライフです。セカンドライフがこけた理由はそこに損のデザインがなかったからです。
例にあげたものを見てみましょう。
将棋はすでに書きましたが、損は駒を減らされる事。そして損を与える相手は対戦相手です。
信長の野望の場合、抱える武将は同時に損でもあります。その損を補うためには領土が必要で、一つの領土には限界があります。その領土を狙うNPCが居て、奪わんとするために兵士と武将を送り込んでくる。当然、領土を奪われるのは損なので、兵士と武将をぶつけ合い、兵士と言うリソースを損させる。兵士の雇用のためにはやはりリソースが必要で、これもある面では損です。つまり、根本的に抱える兵士、武将という損をすべて解決するためには損を与える外敵をすべて片付けなければならず、この損を解決する行動こそ全国統一で最も単純なゲームクリア条件となっています。
ウィザードリィやドラゴンクエストの場合、戦闘で登場する敵はもちろん、こちらのリソースであるHPなどを奪ってくる損を与える相手です。そして、その損を与える相手とは敵のみならず、ダンジョンの構造そのものも敵として存在しています。歩くほど遭遇する率は増えます。つまり、歩数は損そのものでもあります。しかし、最短ルートを通るためにはダンジョンの構造を理解していなければなりません。よって、マッピングにより数値化されないリソースを作り、より長く、より深く潜れるようキャラクターを鍛え、装備を整える。ドラゴンクエストであればここで終了ですが、ウィザードリィの場合はこれにキャラロストの危険性と言う損をさらに設けているため、リソース管理をおろそかにした場合は大きな損をこうむることになります。
最後にマインクラフトです。手に入れたブロックはもちろんリソースとして機能しますが、それ以上に建築した拠点、建物などはもっと大きなリソースとして機能します。一応、主人公であるスティーブンのHPなどもリソースとしては存在しますがリスポーンする以上、保有しているアイテムのロストぐらいしか損はありません。よって普通の敵や地形、というものはそれほど大きな損としては機能していません。マインクラフトを名作たらしめているのは、建築物を破壊するクリーパーの存在です。同じことはセカンドライフでは発生しません。敵を登場しHPを奪う事はセカンドライフでも疑似的にできますが、プレイヤーが作った建築物を敵キャラが無差別に破壊する、というのは絶対にできません。自分の手で作った建築物が破壊される損。このインパクトは艦これの艦娘のロストに近い衝撃を受けます。そのため、これをどう回避するかという部分に意識が向けられ、面白さを見出しています。
リソースの管理のためには必ず敵対者が必要で、そのリソースは代替などで必ずリカバリー出来なければなりません。そして、その損のショックが大きければ大きいほど人はそれを避けようとするため面白さを見出します。よって、何か一つ、必ず避けたくなるリソースの損を用意しましょう。これの有無で、ゲームの面白さは格段に変わってきます。
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