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同人ゲームやフリーゲームはもちろん、ゲームデザイナーを目指す人、これからゲームを作りたい人、今もゲームを作っているがなかなかうまくいかない人向けの、ゲーム開発に関するブログ。

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2016/01/30 (Sat)
ゲームバランスとして代表的な損。その3「選択肢」
行動経済学とゲームデザインにおいて、人は損によって動かされると書きました。そして代表的な3つを挙げ、すでに期間についてとリソースについては書きました。今回は最後の選択肢について考えてみたいと思います。

 くどいようですがゲームデザインの代表的な損は以下の3つです。

  • 期間
  • リソース
  • 選択肢
 何をもって選択肢とするかは色々意見があると思いますが、ここでは「固定の結果を持ち、ゲームの結果を大きく左右したり、課程におけるプレイスタイルに影響を及ぼすもの」、もしくは「展開上に選択肢しか存在していないゲーム」を指すものとします。

 例えば、オセロは期間と選択肢を上手く組み合わせたゲームで、将棋はリソースと選択肢が組み合わさったゲームです。オセロは非常に良い例で、盤面の数は決まっており、おかれた個数が減らない以上1ゲームの手数は決まっています。よって、1手は期間を失う損です。そしてどこに配置することで自分自身の損を減らし、相手の損を増やせるか。その選択肢を決定するゲームで、ほぼ選択肢だけでゲームが成り立っている稀有な例と言っていいと思います。

 大きな枠組みで考えると、初代のドラゴンクエストには選択肢がありません。戦闘のリソース管理においては選択肢が存在するが、あれはドラゴンクエストの一面に過ぎません。全体を通して考えるならば、ストーリーには選択肢による分岐は無く、主人公も男性で性別が決定しており、職業も「勇者」の一種のみ。レベルアップによって何かスキルを選ぶという事もなく、パーティも一人だけで、冒険のリソース管理だけに特化したゲームと言えます。これはドラゴンクエストⅡに関しても同様で、ドラクエは以降になって初めて選択肢が現れるようになります。どういったパーティで臨むのかはプレイヤーがどこに損を見出すかで変化するため、個性が発揮されます。

 キャラクターの選択、スキルの選択という面をより強くしたゲームにディアブロⅡが挙げられます。ストーリーには大きな変化はありませんが、初期キャラクターでスキルの方向性が決まり、さらにレベルアップやイベントなどで手に入るスキルポイントにより、どういったキャラクターに仕上がるかは、一定の定番こそありますが、やはりプレイヤーの個性に大きく左右されます。

 選択肢を最も効果的にストーリーに取り込んだゲームと言えば、やはり真・女神転生になると思います。三本の軸となるストーリーはゲーム中の選択肢により大きく変化するばかりでなく、戦闘での行動、店への寄付や利用、仲魔の扱いなどによっても影響を受けます。もちろん戦闘時にどの仲魔を連れて歩くのか、邪教の館でどの仲魔を合成に使うのか。新たに仲魔にしたい悪魔を作るためにはどうするのかと言うのも選択肢として機能していて、より選択肢に重要度を与えた作品と言えるでしょう。

選択肢はそもそも損を内包する
 なぜ選択肢があるとゲームとして成立しやすくなるのか。実は選択肢が多ければ多いほど、人は不幸になります。過去を振り返って、あの時あれを試してみたらどうだったんだろう、という後悔が常に付きまといます。そして、重要な選択肢であればあるほど人生においてはもう一度その選択肢が現れる機会は少なくなります。一方で、ゲームはその重要な選択肢をいつでも選びなおすことが出来ます。

 つまり、ゲームでは選択肢そのものが選ばなかった選択肢に対する損として機能すると同時に、時間を巻き戻して選びなおす、というリカバリーができるために自分なりの損の回避を見出すことが出来ます。よって、選択肢はあるだけである程度の面白さを保証するし、選択肢だけで成り立っているゲームというものはかなりの数に上ります。

 また、選択肢はストーリーとの相性が非常に良いため、アドベンチャーゲームの分岐などにも多く使われます。この場合は固定の結果となることが多く、逆にストーリーの無いゲームでも、SLGなどリソース管理の根底は選択肢であるため、ゲームには欠かせないものと言っても過言ではありません。余談だがリソース管理に使われる場合は往々にして結果はランダムとなります。

 さて、ここで重要なのは選択肢はいくつ用意するべきか、という事です。結論から言うとエンディングは3つ以上、選択する機会は4回以上が望ましいでしょう。手ごわさを演出するためには攻撃回数を4発以上にするとよい、と以前書きました。これは人という生き物が3までは無意識に認識することが出来るからです。生活していく上で右と左と前は認識できますが4つ目である後ろや上、下などは意識しなければ認識できません。

 無意識で3つ、つまり、エンディングが3つ以上あれば、認識できるギリギリで3回ぐらいのものであれば人は苦痛を感じずにプレイすることが出来ます。よって、エンディングの種類は3以上、できれば3が望ましいと言えます。選択肢だけのゲームであればグッドエンドが3種類、バッドエンドが他にいくつか、と言うのが望ましいでしょう。これは選択肢の損のリカバリーのためです。

 ギャルゲーであれば攻略対象そのものが選択肢として機能するので、複数人数を出すのなら3人以上、慣れないうちは3人とした方がいいでしょう。2つでは駄目なのは無意識での認識に余裕があるため物足りなさを覚えるためです。ヒロインが2名の場合、ハーレムルートを作れば3つ目が出来上がるので、それを試してみてください。

 同様に意識して4つという事は、選択する機会が4回以上あると以前何を選択したかは意識しないと覚えられないという事です。その時に表示される選択肢は2つ以上あれば十分です。重要なのは選ばせる回数です。これは選択肢の損をより強く演出するためです。
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