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同人ゲームやフリーゲームはもちろん、ゲームデザイナーを目指す人、これからゲームを作りたい人、今もゲームを作っているがなかなかうまくいかない人向けの、ゲーム開発に関するブログ。

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2016/03/24 (Thu)
ブラウザMCあくしずのゲームデザイン


損のデザイン

限定された期間
 あり
リソースの管理
 あり
明示された選択肢
 あり

分析と感想

 2016/03/31にサービス終了という事で。サービス開始から終了まで、それなりに遊ばせてもらいましたし忘れてしまわないうちに。

 元々はブラウザ三国志のコンパチで、どの損もバランスよくデザインされています。

 期という区切りがあり、期が過ぎると、それまで獲得したユニットなどの一部のデータは残りますが、それ以外はリセットされる仕組みです。期の終了時にはNPCの拠点を攻略した数に応じてボーナスが手に入るシステムや、建物の建築、破壊、領地の取得、破棄、領地を増やすために必要な名声等、時間を強く意識したデザインが根底にあったように思います。

 時間経過と共に手に入るリソースも上手く作られていて、食料を基準にして拠点の人口と兵士数が決定され、その他の資源を消費して生産施設や兵士をストックする兵舎、保有資源の上限を決める備蓄基地などの建築が行えました。兵士の生産にも資源を消費し、いかにして効率よく資源を使い切るか、溢れさせないかで損を演出していました。時間経過の上にリソースを上手く乗せた良いデザインだと思います。

 名声が一定以上集まると新たな拠点を作ることが出来ます。取得した領地から選択することになるのですが、建築できるスペースに関しては元の領地によって変化するため、戦力と状況に応じてどこに作るかの選択は常に迫られています。また、どのような建築にするかも一定のセオリーこそ存在しますが、プレイヤーの個性が現れる部分でもありました。

 ユニットがその性能を発揮するためには拠点へと配備しなければならりません。各ユニットにはコストが存在し、配備できるコストには上限がありました。基礎能力が強力な物ほどコストが高く、運用数に限りが出てしまいます。また、各ユニットにはHPが存在し、レベルが上がるほどこの回復が遅くなります。再配備するには100まで回復せねばならず、ここにも時間の損を盛り込んできていました。

 ユニットのレベルアップはポイントによるもので、同一のカードを所持していても全く異なる性能のユニットを保有することも珍しくはありませんでした。そしてスキルが3つまで装備でき、その内容も自身のスペックを上げるものであったり、率いた兵士のスペックを挙げるものであったり、自動的に発動するものであったりと様々な選択肢が示されていました。

 ……と、ここまではブラウザ三国志の基本的な要素であって、ぶらうざMCあくしず固有のものではありません。元になったブラウザ三国志が長く続いているのは時間を軸としたデザインが非常にバランスよく整っているからと言えるでしょう。

 ただし難点として、戦争ゲームと言う都合上PvPがメインであるため、相手プレイヤーからの攻撃によりリソースを大量に消費して用意した兵士が0になってしまいます。これによって今まで積み重ねてきたものがすべて失われると言う大きな損が襲い掛かる事になり、戦争が起れば起るほど、PLが減る、と言う傾向があります。

 この減少するPLを繋ぎとめるため、新規スタートのワールドを次々と作り、新規参入しやすい環境を何とか確保しなければなりませんが、それは三国志と言う広い題材だったからできた手段とも言えます。MCあくしずと言うコンテンツではその裾野が狭かったようです。

 あくしずよりもやや先に、同じくブラ三コンパチの一騎当千がスタートしているが、こちらはエロめのカードを増やす事と、キャラや作品についているファンのおかげで戦争での兵士の死亡は損ではなく、カードの入手に専念する、普通のソシャゲに近い方向性で元々の難点を克服していました。衣服が破れるなどの要素はその後のバーストファイト等に引き継がれていきます。
(もっとも、衣服の破れによるエロ差分はソシャゲーの定番ともいえますが)

 一方のあくしずは、フォーメーションという独自要素の導入で選択肢のゲーム性を増強させました。デッキにセットされたユニットが同一フォーメーションを持っている場合性能が上がるというもので、非常によいアップデートでした。しかし、その後新レアリティと4.5コストと言う、これまでの4.0コストの上限を上回るユニットが追加された。これが間違いの始まりだったと個人的には思います。

 スキルにはコストが高ければ高いほど威力が高くなる、という物が数多く存在し、4.0コストまでで上手くまとまるよう調整されているものがほとんどでした。そこに4.5となるとバランスが崩壊し始めます。当初は数が少なかったからまだマシだったのですが、その後も新レアリティは次々と導入され、コストに関しては5.0まで膨れ上がります。

 度重なるコストの上限を突破したユニットや新しいレアリティの導入で希少価値を上げ、資金の回収にかかったことにより、このサービスがそろそろ終わるのではないかと言う空気がユーザーに流れてしまったため、ユーザー離れが加速しました。

 聞くところによると途中からゲーム担当のトップが変更になったそうです。変更後に新レアリティの乱発が見られるので、組織のトップがいかに大切か、と言う良い事例の一つともいえるかもしれません。

リスクとリターン

 桜井政博氏曰く、ゲーム性とはリスクとリターンとの事です。ブラウザMCあくしずと言いますか、ブラウザ三国志系の主なリスクとリターンは場所の取り合いだと思います。

リスク
 向かっていない先のいい場所を取られてしまう
リターン
 向かっている先のいい場所を取れるかも知れない

 最初にどの方角に向かいどのあたりを占拠するかはもちろんですし、NPC砦の包囲、農場の確保等はそれぞれがそれぞれの思惑で移動しリターンを得るために同盟は動きます。運が悪ければ同じ方向で同じ目標を狙う事もありますし、この競い合いがゲーム性としても大きく作用してきます。

 最短ルートをたどるには時には難易度の高い領地を狙って攻略しなければなりません。それともその領地は迂回して移動数はかかるが難易度の低い確実なルートを取るかなどはレースゲームのラインどりとも似ていると思います。



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 MCあくしず
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